(2019.7.14 赤字分追加訂正)
このシリーズ6で耐力壁に付いて触れ、出来るだけ素材に近いものを選択するとの立場から、筋違を選択することにした。今回はその筋違の納め方についてまとめてみたい。
柱・横架材巾120に対し、外周まわりでは間柱90×45*(柱付間柱は90×30)、中通り間仕切り壁では間柱60×30(付間柱共)、筋違には原則90×45を採用する。外周まわりはタスキ筋違45ダブルもピッタリ納まるが、中通りでは図のようにタスキ筋違を壁厚両側に化粧で出して納める**。化粧筋違として見せたくない場合には、例外的に90×30ダブルとし間柱奥行き寸法60に納める。**
*外断熱等で防水通気シートの上からビスを打つ場合、下地を外し易い等に配慮して45巾を選択。それらの心配がないのであれば90×30でも良いと思う。
**2019年(令和元年)5月に岡部(株)からタスキ筋違補強金物「ブレスターX」が発売された。これを採用すれば、タスキ筋違45ダブルも45巾に納まり、90×30ダブルとすることなく、中通り間仕切り壁ふところ60にも納められることになった。
(又、本稿で前提にしている120角柱の採用に代えて105角柱を採用しても、外周、中通り壁ふところはそれぞれ75、45となるが、45巾片筋違、タスキ筋違いずれもが納まる。)
尚、同社の発売する筋違用接合金物「ブレスターZ600」(グッドデザイン賞受賞)も以下に推奨する箱型の皿ビス筋違ボックスⅡ、同75(床合板仕様)/カナイに代えて採用可である。この金物は筋違30×90,90×90にも対応できる。
こうした間柱寸法=真壁内ふところ寸法を指定することなく、現場にまかせると、中通り間柱に45×40等を使用するなど、多くの場合、筋違45ダブルは上記のように納まらないで不要に露出し、化粧とせざるをえなくなってしまう。
筋違金物には筋違の 厚み45に等しいふところ寸法を持つ箱型の皿ビス筋違ボックスⅡ、同75(床合板仕様)/カナイ、前記化粧で納める場合には外付け専用でふところ寸法33.7のニュー皿ビス筋違ボックス、同75(床合板仕様)/カナイ等を採用する(筋違を化粧とし、これにボード欠り等を施す場合には壁倍率をその分低減しておいた方が良いかもしれない)。筋違90×30用には、市販箱型の1.5倍筋違金物が見当たらないので、例外的に柱付き1.5倍筋違〈リベロ〉/タナカ等を採用することとする。
納まりだけを考えれば、柱付き筋違金物2倍筋違〈リベロⅡ〉/タナカ(ふところ巾45)等も便利で施工性も良いが、柱付き金物は梁や土台等横架材に固定されず、筋違からの力が柱のみに作用するので(柱のホゾに負担をかけるとの構造家山辺豊彦氏の指摘もあり)前者の箱型筋違金物を原則採用することとし、納まりが箱型金物では難しい場合のみ、例外的に後者を採用することとした。
基準法関連法規や告示の扱いではZマーク金物BP-2を基準にしているようで、前者箱型筋違金物の場合と、後者柱付き筋違金物の場合の扱いを区別していないが、筋違から伝わる柱への引き抜き力は後者の場合フルにかかるが、前者の場合には柱付きビスを介しての力のみが柱への引き抜き力として作用し、残りは横架材付きビスを介して横架材に直接作用すると言った違いがあり、柱への実質的引き抜き力はその分低減する。
尚、図で示した柱に施すボード欠りは、壁入り隅部では互いにぶつかり合って、柱の角が飛んでしまう。入り隅部分では例外的にしゃくり深さを浅くして(ボードの「行って来い」に必要な深さは反対側柱にとることにして)おく必要がある。
又、筋かいの取り付く柱面の背割り、あるいは背割りを設けない場合には竣工後生じる可能性のある割れが筋かい金物や柱頭・柱脚金物のビスやボルトに絡まないよう配慮しておく必要がある。
(後の章で詳述する予定だが)背割り位置(方向)の指定、背割りを設けない場合には割れの発生位置の予測による上記への対応が、実は、極めて重要になる。
筋かい端部金物が柱の背割りにからむ場合他に関しては次章04参照!
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