造園家枡野俊明の講演を家族で聞いて来ました。 |
妻と造園の世界に入って5年になる末娘は家から3時過ぎに、私は4時頃K邸の役所打合せを終え大磯から4時ころ、長女は東京の勤め先から5時少し前、それぞれ到着ということになりました。
先着3人は時間もあったので、夕暮れ時の三渓園の散歩を楽しみ、開演前に、枡野氏の設計した鶴翔閣の前庭の植栽を、特別許可を得て鑑賞させてもらいました。
少し盛り上がった枯れ芝の中や周辺に紅、だいだい、黄色のもみじが鮮やかに暮れかかった夕景の中に浮かび上がり、枯れ芝の上にはそれぞれの木のそれぞれの色のもみじの葉が敷き分けたように散っていました。
鶴翔閣は明治42年建築の、延べ床面積950㎡にも及ぶ原家の旧宅です。庭から見る、少し高まった床レベルの上に柱と華奢な建具だけで大きな屋根を支える姿は、繊細かつ軽快で、久し振りに古き良き時代の日本の木造建築との出会いとなり、これも私たちの心を捉えました。
鶴見建功寺の禅僧住職であり造園家でもある枡野氏の講演も家族の心を捉えたようです。造園の世界にいる末娘だけでなく、長女も、真剣にメモをとり、妻も私の隣でしきりにうなずいていました。(皆が興味を持ってくれるか心配していましたが、私の家族サービスの企ては、見事に成功しました!)
私自身は枡野氏を知らなかったのですが、日本のみならず海外にも活躍の場を広げ、多摩美術大学教授、コロンビア大学の特別教授としても教鞭をとるといった、注目の造園家でした。その作品の一例を講座のチラシの写真から紹介してみます(青山緑水の滝)。
西日しか射さないと言う敷地の、その光を捉えて、配置された石組みに光る面と影を浮かびあがらせるというその読みは、説明を聞いて凄い!と感じました。奥行きのない庭での石積み、更に背後の石のこば積み、そこに線状に流れ落ちる無数の滝の構成も魅力的ですし、その背後の木々もこば積みの頂部と手前の建築の軒の2本水平線に切り取られ、自然の広がりを見事に感じさせます。