この適度な抑制と自由、そして艶やかな世界! 金沢ひがし茶屋街 |
この金沢を代表する花街は旧ひがしの郭とも呼ばれているそうで、藩政期の名残を今も色濃く残していた。
浅野川を渡り、車を降り下見板張2階建ての建ちならぶ狭い道を少し歩くと、この花街の表玄関とも言える広場(写真1枚目)に出る。
同じく下見板張りの外壁に囲まれたこの広場のスケールや独特の雰囲気が、私の心をしっかりと捉えた。
そしてこの広場を進み右に曲がると、左右の2階建て茶屋が正面突き当りまで続く(2枚目写真)。
大戸、格子、2階の掃き出し状の雨戸(3枚目写真)、ほぼ統一された軒線や壁面線、通りのスケールが、これまた、とてもいい感じなのだ。
そうした印象は、道幅の狭い裏の路地を歩いても(4枚目写真)変わらない。
通り、街並み、それぞれの茶屋のデザインに潜む適度な抑制と適度な自由さ。そして、スケールの優しさ。それらは、どのようにして生まれたのだろうか。
実は、大変残念なことに、この外部空間の雰囲気に酔い、時間のすべてを費やしてしまい、茶屋の内部に足を踏み入れることが出来なかった。
一緒に行動した仲間のM氏から、その内部空間は、外部空間とは対照的に、濃密かつ艶やかであったと、帰りの飛行機の中で知らされた。
適度な抑制と自由そして艶やかな世界!
機体窓外の暗い夜空に目をやり、ぶりの押し寿司を味わいビールを飲みながら、覗くことの出来なかった世界に思いを馳せるのであった。