N社ツインビルB棟、実施設計最終段階へ! |
旧B棟の杭をよけて柱を配置することから始まったこの設計は、既にこのblogで取り上げたように、南側隣地境界に建物が互いに10数センチと近接する為、旧B棟の(特に基礎の)解体、山留め(基礎工事の為土を掘る時の土留め)が難しく、これををどうするかの検討に大分時間がかかってしまいました。
このビルは、小規模な敷地に2方向の道路から斜線制限を受け、そのままでは周辺ビル同様2方向共5階からセットバックし、いかにも斜線制限で決まってしまったと言う不自然なビル形状となるのを何としても避けたく、何年前かに制定された「天空率」による設計手法を採り入れています。
道路から見上げる時に見える空の量の割合(天空率)が道路斜線制限による最大のビルの場合より大きければ、道路斜線によらなくても良いという法律の採用です。
解体・山留めになんとか目鼻をつけ、天空率チェックを繰り返しながらの試行錯誤を重ね、様々な細部の問題を少しずつ解決、技術的にも形体・空間的にも、なんとか、不自然さの無い納得できる線に納めることが出来ました。
そのために、全体の形を調整し、内外の開口部の納まりにひと工夫する一方、耐久性に留意した仕様の選択を心がけました。又、天空率手法の採用によって、各階共、使いやすい平面形状と広さを持つ事務室や書庫を誕生させることができたようにも思います。
構造事務所の協力で、この土地に最適な構造形式が生まれ、設備事務所の協力で、将来の更新に配慮し多少ともエコ的な設備が実現しそうです。
*1階階段室、外部の仕上げは石張りですが、石種は決定していません。図面外観の色は仮に着色したものです。