2つの美しいスロープ |
一寸遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます!
皆様には良い年であります様、心からお祈り申し上げます。
この2年半ほど、たまたま機会を頂いたN社ツインビル他の設計監理の為、休日も満足にとれない状況が続き、無沙汰続きで大変失礼していました。その間、日本も世界もとてつもなく厳しい状況に直面し時代の大変換期の只中に放りだされていますが、個人的には少し時間がとれるようになりましたので、心を新たに、この「建築日記」を再開させていただこうと思います。
昨年末、とても美しい2つのスロープに出会いました!
1つは10月末、家族で関西方面に出張中の娘と四国高松で落ち合い、高松港から直島に渡り宿泊した建築家安藤忠雄設計のベネッセハウスミュージアムで出会ったもの。
奥行きのあるシンプルで幾何学的な白い直方体の空間を、正面の1面全体に明け放たれた大開口に向かってゆったりと下り、途中でゆるやかに方向を反転してさらに下り着床します。
丸いコンクリートの柱位置から持ち出されたスロープの信じられない程の大きな出は見事なばかりに軽やかです。
そして、軽快ではあるけれど重さやボリュームを感じさせるコンクリートのスロープに対比させ、注意深く、線的に構成されたフラットバーの美しくも繊細な手摺。
もう一つのスロープにはほぼ1カ月後の11月末、日本建築家協会のJIAアーバントリップに参加した折に出会った高橋てい一設計の全労済情報センターで出会いました。全面トップライトの光の下に浮かびあがった美しいストライプ模様の床から、ゆるやかなカーブを持って立ちあがるコンクリート打ち放しの壁に沿って、これもゆったりと下るスロープ。
細いステンレスのムク丸鋼の手摺と中間に配したさらに細いステンレス丸鋼、そしてこれらを支えるステンレスフラットバーの手摺支柱。なんとも優しく、繊細かつ素材感のある手摺であることか!
コンクリート打ち放しのスロープは品良くトラバーチンの大理石が敷かれていました。
新年に当たり理屈抜きで心ひかれた2枚の写真を贈ります!
良い年で有ります様!!