こだわりの一品/その2 緩やかな暖気の循環をつくり出す |
①温度分布の異なる各空間それぞれをコントロールして、均一温度にするのは、一寸大変で、上手な方法では有りません。
空間各個所で生じる冷気は、暖気より重いので放っておけば、下へ下へと下り、住宅最下部に集まってきます。要するに、最下部が「冷気溜まり」となる訳ですが、この部分=この住宅で言えば1階家族室に深夜電力利用蓄熱式暖房機を置き、1日中、下りてきた冷気を、継続的に温め上昇させます。たった1台の暖房機が「住宅全体の暖気の循環をつくり出す」こと、これが第一のポイントです。
②次に大事なのは、この暖気の循環が「緩やかで人に気づかれない程のスピードで行われる」ことが重要です。循環のスピードが速まると、体温より低い空気の移動=風を受けて、人は寒いと感じてしまいます。
開口部を含めた住宅外周部の断熱がしっかりしていて、室内空気が極端に冷やされる部分を持たない=冷気の発生が最少であること。そして、この最少の冷気を常時効率的に集めて、緩やかに、継続的に温めること。これが第二のポイント。
その為には、蓄熱式暖房機の放熱の仕組みがぴったりでした。
③外周の断熱性能を上げることと同時に、南面開口部からの太陽光をしっかり採り入れる仕組み、1階基礎断熱により床下土間へ蓄熱する仕組みが、上記①、②によって得られた住宅内の「緩やかな暖気循環の温度レベルを押し上げ、夜間の温度下降をセーブする」のに、役立っています。
住宅内部の温度が均質でないと、その温度差によって冷気の移動=風が発生する等して不快なだけでなく、その温度差が高齢者の健康等にも影響することが言われています。さらに、温度が低い部屋の空気は冷やされ、その部屋のみ相対湿度が上昇し、結露が生じる可能性を増し、健康に有害なカビ菌の活動を活発化させます。
出来るだけ均質な温度であることの必要性を理解頂けるかと思います。