「ロフト」・「階段」の魅力! 竣工する「陶房を持つ家」から。(1) |
この家のロフト、そこに上がるための階段が、ちょっといい感じに仕上がりましたので、写真をお見せし、少しおしゃべりしようと思います。
設計当初、施主夫妻から、日常利用出来、お子さん達が遊びに来られた時に泊まれるような和室が、狭くても良いからとれないだろうかとのお話が有りました。
将来の為のバリアフリーにも配慮して、平屋建てで設計を進めることになりましたが、面積的にも部屋配置からも、和室を断念し、その分居間・食堂を広くする方が、より快適になるとの結論に至ってしまいました。
しかし、私は、お子さん達が泊る時には、居間でごろ寝をしてもらっても仕方がないと言う夫妻の譲歩は、どうしても受け入れてはいけないと思いました。
お子さんあるいはお子さん家族が気軽に立ち寄り、気軽に泊まっていくことが出来ることは、この家に必須の条件だと私は考えていたからです。
そこで、居間上部とつながり、夫妻の寝室上部のスペースをロフト(写真左)としてそれにあてることを提案することになった訳です。
ロフトと言っても、棟(むね)部分では背が立ち、布団などを収納する2畳大の納戸付の9畳ほどのスペースは、お子さん達家族宿泊には十分です。
(また、将来、万一夫妻に介護が必要になった場合には、呼び鈴なしで寝室の気配を感じることが出来、介護する人の為の格好の宿泊スペースになる筈です。)
写真(右)はこの、法ギリギリの勾配で設計されたロフトへの専用階段です。機能上、南北に抜ける居間・食道の南側西よりの角に大きな開口を背にして設けられました。南側の庭への眺望の邪魔にならず、むしろ楽しいオブジェとして眺望の1点景として生かせるかどうかが勝負所で、出来るだけ軽やかに透けてシンプルであるように心掛けました。意図は達せられたのではないかと感じています。
ロフトから降りる時には、その逆の体験をすることになります。写真から、そんな感じを読み取って頂ければと思います。
ロフトは幅1間の寝室上部の吹き抜けを介して南側の庭に面し、写真右側に見える横格子を通して、眺望・採光・通風を計っていますが、横格子の重なりによって下方の寝室は全く見えません。写真方向逆、背面西側の遮熱ガラス入りのすべり出し小窓からも眺望・風抜けを計っています。
「非日常的で秘密めいた感じが良いですね」と夫妻にも大変気に入って頂きました。
この「陶房を持つ家」のオープンハウスに関する詳細は野口泰司建築工房HP「お知らせ」欄を、工事や設計の詳細は同じく「現場から」、「設計を追う」各欄を参照下さい。